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【PICK UP】 HIGHLIFE★HEAVEN vol.18

2017.03.15.Wed

西アフリカ発のポピュラー・ミュージック、ハイライフを中心にアフリカン・についてお伝えする本連載の18回目!

サー・ヴィクター・ウワイフォをめぐる冒険その➁

どうもこんにちは。shochangです。

あれは2013年頃の1月だった。

正月が明けてすぐに1枚のレコードが届いた。それは、その前の年の暮れに海外のセラーから買った何枚かのレコードのうちの1枚で、試聴をすることができず、確認できた文字情報だけを頼りにハイライフであることを信じて買った中の1枚だった。その当時はとにかくハイライフと書いてあれば、遮二無二集めていた時期でもあった。

新年開けたてのめでたい気分でそのレコードに針を落とした途端、それまでに聴いていたハイライフとは一風変わった…むしろ全然趣きの違ったそのサウンドにびっくり仰天してしまった。文字通り腰を抜かしそうになったのだ。そのレコードが、そこからとても長い付き合いとなるオサヨモア・ジョセフの『Ulele In Transit』だった。

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Osayomore Joseph & The Ulele Power Sound – Ulele In Transit
(Emotan / EMOLP001)

2014年にヴードゥー・ファンクことフランク・ゴスナーが来日した時、少しだけDJとして関わることができた。その際に、彼のミックスで『BENIN CITY HIGHLIFE』なるものが存在することを知ったのだった。

『むむむ?ベニンシティ・ハイライフ??』駆け出しのハイライフ・ヘッズだった私が関心を持たないワケがなく、そのミックスに収録されていたバンドの情報をすぐに調べ始めたのだった。

アカバ・マン、タレント・オブ・ベニン、コリンズ・オケ、そしてヴィクター・ウワイフォ。

調べていくうちに、ベニンシティとはナイジェリア南部のエド州にある都市の名前であることが判明。さらにベニンシティ・ハイライフの他にも、エド・ファンクなる呼び方まであると言う。そして、なんとなんと、オサヨモア・ジョセフはそのベニンシティ・ハイライフの代表的なアーティストの一人であることもすぐに判明したのであった。ちなみに、エド州の愛称は”ナイジェリアの拍動”と言うらしい。

大盛況だった2014年、フランク・ゴスナーの東京場所だったBE-WAVEの終盤近く、サポートDJたちによる1曲ずつのバック・トゥ・バックが行われた。直前のDJがスピンした激烈キラーなエチオ・ファンクの前で、いなたいハイライフしか持っておらず困り果てた私が選んだのが、前述のオサヨモア・ジョセフの『Ulele in Transit』に収録されていたキラー・チューン”Efewedo”。結果はそのポップなメロディとリズムで、なんとかフロアのテンションを保つことに成功し、なおかつフランク本人にも気に入ってもらうことができたのだから、オサヨモアさまさまである。

さて、しばらくしてベニンシティ・ハイライフ、通称ベナシテにズッポリとハマり込んだ私は、再び必然的にヴィクター・ウワイフォに行き着くこととなる。そう、私のアイドルであるウワイフォも、何を隠そうエド州はベニンシティの出身だったのである。

なるほどな、と思った。

1970年代頃のウワイフォは、ところどころ奇抜なエッセンスを感じさせてはいるがナイジェリアのヴィンテージのハイライフのサウンドをそれなりに踏襲していたものだったが、1980年代頃になるとその才能が開花したのか、はたまた色気が出まくったのか、たくさんの音楽的影響を自身のサウンドへ落とし込み始める。

レゲエ、カリプソ、ソカ、そしてクンビアにファンクにアフロ・ビートなどなど。90年代に入ればラップやジャングルなど、本当にその才気には恐れ入るが、その柔軟かついわゆる王道やスタンダードなサウンドとは違ったその趣は、確かにベナシテのそれらに通じているなと思った。

大阪万博にインスパイアされて想像で作ったとされる『EXPO‘70』は、Soundwayのコンピレーション『NIGERIA SPECIAL』に収録されていた”Osalobua Rekpama”の他に、”Aladuna”と言った不思議なブレイクとコーラスがたまらないキラーなナムバーも収録されていて、その奇抜さ、多彩さの片鱗を垣間見ることができる。

それまでのメロディ・マエストロス名義ではなく、ティティビティズを率いてその名も『ティティビティ・ビート』なるサウンドを作り出した傑作『FIVE DAYS A WEEK LOVE』には、甘くメロウなナイジャ・レゲエが何曲か収録されている。

そして様々なシーケンサーやシンセサイザーの音がフィーチャーされた偉大なポップ・アルバムである『BACK TO TOWN』では、なんとも形容しがたい、良い意味でヘンテコなサウンドで彩られていて、その後のベナシテのサウンドを味わう時、後世に与えた影響はとても大きかったことを感じずにはいられない。タイトルの”TOWN”は、ひょっとしたらエド州、そしてベニンシティのことではないだろうか。

ウワイフォの作品はiTunesでも聴けるしYoutubeにもある。そしてレコードで探してみてもとてもリーズナブルに買えるので探してみて欲しい。彼はもっともっと評価されるべきなんだから。

とにかく多作な彼が残した道筋は、まだまだ語り尽くすには至らない。そしてそれらはたくさんのベナシテのアーティストに受け継がれているのだが、それはまた別の機会に。

【DJ Schedule】

●SHOCHANG (HIGHLIFE HEAVEN)

◆ 3/19 (Sun)
『Nishiogi Riot-City Blues』
@西荻窪Pit Bar
https://www.facebook.com/Pit-Bar-1447824428806541/

◆ 3/30 (Thu)
『カセットコンロス Highlife Special』
@吉祥寺BAOBAB
INFO: http://wk-baobab.com/

Soundcloud:https://soundcloud.com/shochang-highlife-heaven

Mixcloud: https://www.mixcloud.com/shochangmorichan

2017.03.15.Wed

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