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【PICK UP】 HIGHLIFE★HEAVEN vol.15

2017.02.03.Fri

西アフリカ発のポピュラー・ミュージック、ハイライフを中心にアフリカン・ミュージックについてお伝えする本連載の15回目!

皆様こんにちは。第3回目から筆を取らせて頂いている三橋です

通勤中は何かと暇なので本を読むようにしています。先日は糸井重里が詩人・評論家の吉本隆明に聞きたいこと聞く対談的な本「悪人正機」を読んでいて、「文化」とはなんでしょうか?ということについてこのような一説があった。

「ーー僕はその、ごく当たり前なところと前衛的なところが、両方あるぜっていうことに、びっくりしましたね。ぱしゃぱしゃ髪を切っていって、ある種、ごく普通に見えるじゃないかと思わせるところにもっていく。でも、その「普通」なるものが、そういうことを考えたこともない人たちの「普通」とは違うってことに、感心したんです。」

うひゃー、これはある種、理想の一つだよな~なんて震えながら読んでいたところにこんなニュースが飛び込んで来た。

「ナイジェリアのエレクトロニック・ファンクマスター、ウィリアム・オニーバーが1月16日、ナイジェリアのエヌグにある自宅で死去。」

彼の存在を知ったのは2013年に元トーキング・ヘッズのデヴィット・バーンが主宰するレーベルLuaka Bopからリリースされたウィリアム・オニーバーのコンピレーション「Who is William Onyeabor?」だった。
彼が織りなす、絶妙な間が空いたノリやマットな録音、チープなんだけど歌心や愛嬌のあるシンセサイザーを駆使して作られたディスコやファンクチューンに「なんて人肌ある音楽なんだろうか。」とそれまでのディスコやファンク観に新たな視点を与えてくれました。

表舞台にあまり出たがらない人柄のようで彼についてミステリアスな部分が未だに多いよう。
ファースト・アルバムを自身のレーベルWilfilms Recordsから発表したのが1977年、1946年生まれの為31歳でのレコードデビュー。
レーベル名に”Film”が付いてあることからもわかるように、音楽に目覚める前は映画に着手しようと考えていたらしく、ロシアに映画撮影技術を学びに留学をした経験もあるとか。
そこまでしても音楽の世界に身を置いたのは、音楽内でも一際耳をひき、レコードジャケットにも登場するシンセサイザーの存在が大きかったのでないかと勝手に想像してしまいます。
例えば同じ曲でもピアノバージョンとバンドバージョンで感じ方が変わるように、シンセサイザーの音色によって、しかも誰も聴いたことの無いような音色を1から作れる自由度の高さを持った楽器によって彼の感覚が更新されたような。きっと、シンセサイザーの登場って当時はとんでもなく大きな衝撃があったんじゃないかなーとかも。

2013年にコンピ「Who is William Onyeabor?」をリリースして以来、オニーバー本人は参加していませんが、2014年から彼の曲を演奏するAtomic Bomb! Bandが始動し、ヨーロッパやアメリカで演奏をしています。

こちらはそのバンドの映像。
元トーキング・ヘッズのデヴィット・バーンがボーカルを取り、キーボードにはビースティ・ボーイズ第4のメンバーとしても知られるマニー・マークが!!

ブラーのデーモン・アルバーンが参加したライブも!!

そしてこちらはなんと60年代から活動をし昨年も素晴らしい新譜を届けてくれた生きる伝説と称されるジャズメン、チャールス・ルロイドが参加!!ハリと枯れ、自由な音使いで魅了するチャールス・ルロイドがオニーバーの曲でサックスを吹くとはなんて豪華な・・・

いかに現代のミュージシャンに影響を与えて、そして現在のリスナーにも訴えるものがあるのかがわかります。

「ごく普通に見えるじゃないかと思わせるところ」にもっていきながら、アフリカ的なノリやテイストが滲み出ていたりするウィリアム・オニーバーの音楽と出会えたことは音楽が好きで良かったと思える瞬間一つです。

2017.02.03.Fri

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