Music, Pick Up

【PICK UP】 HIGHLIFE★HEAVEN vol.3

2016.08.01.Mon

西アフリカ発のポピュラー・ミュージック、ハイライフを中心にアフリカン・ミュージックについてお伝えする本連載も早3回目!!

はじめまして!
今回はHIGHLIFE HEAVENことshochangに代わり、先日のイベント「HIGHLIFE HEAVEN & TOKYO SABROSO present WADA MAMBO’s AFRO LATIN SPECIAL」にて撮影担当をさせて頂いた三橋が本連載の筆をとらせていただきます。何とも光栄!紙面を汚さぬよう頑張りますので何卒宜しくお願い致します!!

この連載の筆を取るということは何を隠そう、私もハイライフやアフリカ音楽の魅力に魅了されている一人でして、その音楽を知ったのは3年程前と歴は浅いものの、自分の音楽歴に確実に深い衝撃を未だに残し続けているという底知れない音世界。

そんなハイライフ・アフリカン・ミュージックについて本連載の第1回目でshochangがとても重要な指摘をされています。それは、
ハイライフは様々な音楽の混血ゆえに「決して定義付けすることのできない音楽」。
としているところだと思います。

しかも、この指摘はガーナやナイジェリアのハイライフに限ったことではなく、当時のアフリカ・ポピュラー音楽全般にも言えるんじゃないかな~と感じています。そして、「決して定義付けすることのできない音楽」がゆえ、その入り口は想像する以上に開かれていて、普段アフリカ音楽を聴かない方々でも親しみや発見、刺激や興奮を抱かせてくれるものだと思います。

今回はそれを踏まえてハイライフも含めたアフリカン・ミュージックという大きな括りで私が衝撃を受けた、良い意味でアフリカの音楽がわからなくなる(笑)楽曲群を紹介出来ればと思います!アフリカの音楽に興味がない方々にこそ聴いて頂きたいです!

まずはこちらの楽曲から。

  • コートジボワールのご当地スター・アメデ・ピエールが1977年に発表した7インチのA面”VLA”。
  • ラテンのリズムやハーモニーがほのかに香ってきながらも中盤の管楽器が吹き鳴らすメロディはshochangがこれまでの連載で取り上げてきたハイライフ・レジェンド達のようになんとも小粋で、そして祝祭的。しかし!!!!個人的にこの楽曲で一番注目したいのは冒頭から鳴り続けるポンコツなシンセなんです!(笑)

    実はこの楽曲がアフリカ音楽に直接触れるきっかけとなった一曲で、それまでアヴァンギャルドな音楽を好んで聴いてきた耳には、このポンコツなシンセの音色がヨーロッパのトイ・ミュージックと類似して聴こえました。ラテン香るリズム、祝祭的なメロディ、そしてこのトイ・ミュージックよろしくな音色が相まって、世界でも類を見ないトロットロな、毒気の無いバブルスライムのような(笑)音楽に仕上がったのではないでしょうか。

    音色の面白さで言えばこちらの楽曲も負けておりません。

  • ガーナやマリに挟まれた西アフリカはブルキナファソのバンド、ハーモニー・ボルテイークの激名作7インチのA面“Killa Naa Ye Killa”。
  • この曲は2013年にKindred Spritsから発売されたブルキナファソのバンドを集めた貴重なコンピ“VOLTAIQUE PANORAMIQUE”にも収録されました。このKindred Spritsというレーベルも注目で、ブルキナファソだけではなくマリやバマコの激レアなアルバムの再発も手がけていたりとアフリカの音楽を探っていると必ずと言っていいほど目にするレーベルです。ハーモニー・ボルテイークのレコードも目にすることが少ないので再発されアクセスし易くなったのは嬉しい限り!楽曲もただ珍しいだけではなく、冒頭から飛ばすスットコ・ビートに乗って吹き鳴らすスウィンギーな管楽器が最高にかっこいい。
    しかし!!!!注目したいのは終始コロコロとディレイがかけられたエレキ・ギターです!サイケデリック、と言ってしまえばそれまでですが、よ~く聴いてみると展開に応じて楽曲の奥行き感を出していたり、万華鏡のような色彩感溢れるソロを弾いたりと一筋縄ではいかないプレイをしています。そして、これは私の推測なのですが、ジャケットを見ると木琴担当の人が写っていますよね?でも音を聴いてみると木琴の音が入っていないという(笑) なので木琴の音をカヴァーするために終始コロコロとしたディレイをかけた、というかバレないようにした(笑)なんて妄想もしてしまいます。しかし、そのおかげで熱帯雨林の中でクリスタルを眺めているような、サイケデリックで不思議な風景を見せてくれる楽曲になっていると思います。

    Kindred Spirits繋がりでこちらの人力ミニマル・ビートが強烈すぎる楽曲を。

  • 西アフリカはマリの第二の都市モプティのバンド、オルケストラ・カナガ・デ・モプティが1977年に発表したアルバムから。
  • 冒頭のシンセのような、電気化された木琴みたいな音色の正体が未だにわからず(知っている方是非ご教授ください!)モヤモヤを抱えながら聴いていますが、そんなことがどーでも良くなっちゃうくらい最高!の一言!
    このバンドが凄いのは、このアルバムで聴けるようなパーカッシヴでアグレッシヴな楽曲が他のバンドで聴けないところ。もちろん、まだまだ発掘されていない・自分が知らないだけなのかもしれませんが、この音に近い音楽が全く見つからないというのもアフリカ広しと言えど驚愕です。このオルケストラ・カナガ・デ・モプティにはマリの音楽を語る際に必ず出てくるソリ・バンバという人物も在籍しているので、その手腕によるところも大きかったのでしょうか。出来れば、この音に近いバンドが発見されるか、どなたかがやってくれることを祈ります(笑)

    マリというキーワードが出てきたらこのバンドを外すことは出来ません。

    マリを代表する、伝説とまで言われるバンド、レイル・バンドの1973年に発表した両A面の7インチ“Nanthan”

    このレイル・バンドやマリのバンドは独特のファンクネス、ノリを持っていて、欧米のファンクとは一癖も二癖も違うノリで楽しませてくれます。しかも、メロディや音階が土地の民謡に根付きながらも誰もが分かりやすい演奏で聴かせてくれるところが素晴らしいです。ちなみに近年レイル・バンドがジェームス・ブラウンのカヴァーをやっている発掘音源が発表されたりして、彼らの音楽のバック・グラウンドが少しずつ垣間見えてきているのはファンとしては嬉しい限り!
    このバンドのメイン・ボーカル、サリフ・ケイタはマリ王家直系の子孫で貴族ですが、アルビノという運命(?)からとても貧しい生活を送ったのだとか。最近だとレス・アンバサドゥールというサリフ・ケイタが在籍する別バンドがリユニオンを果たしその素晴らしい歌声を披露してくれました。。。泣 もっと聴きたいぞ!

    と、駆け足で、まとまり無く!?紹介させて頂きましたがいかがでしたでしょうか。
    もちろん、アフリカには面白いバンドがもっといて、知れば知るほどそのエネルギーや音楽の豊かさに圧倒されますが、その一端をほんの少しでも皆様に紹介でき、「アフリカのバンドって想像していたのと何か違うな!」と思って頂ければ幸いです。一緒にアフリカ音楽地図の上を彷徨いましょう(笑)

    2016.08.01.Mon

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