
【PICK UP】 HIGHLIFE★HEAVEN vol.10
2016.11.16.Wed西アフリカ発のポピュラー・ミュージック、ハイライフを中心にアフリカン・ミュージックについてお伝えする本連載の10回目!
サー・ヴィクター・ウワイフォをめぐる冒険その①
どうもこんにちは。shochangです。
サー・ヴィクター・ウワイフォは、1941年の3月1日にナイジェリアで生まれた。魚座である。彼の出身地はナイジェリア南部のエド州にある都市、ベナン・シティと言う所で、この都市は後に、彼や彼の後輩達によって、コアな音楽ファンを熱狂させ踊らせるアーティストや音楽を、多数輩出する希代の音楽都市へとなる。そしてそれは、ヴードゥー・ファンクこと、フランク・ゴスナーの偉大なる功績でもあるけれど、それはまた別の機会に。
ウウィフォは現在75歳。ご存命だ。
ウワイフォの音楽キャリアの初期は、ナイジェリアのハイライフの開拓者であるヴィクター・オライヤの楽団に所属していたそうで、同じ楽団にはレックス・ローソン、フェラ・クティ、トニー・アレンにデレ・オジョ、ジョー・メンサーなどなど錚々たるメンツが揃っていたらしい。まさにナイジェリアン・ハイライフ・オールスターズじゃないか。
ソロとして自らのバンドを率いてデビューした彼もまた、ナイジェリアのハイライフの巨人の一人となる。
そんなウワイフォだが、その音楽性は多才かつ多彩。年代によって全然音楽的傾向が違うので、今後も当コラムでは何回かに分けて紹介したいと思う。今回は彼のキャリア初期の楽曲について、ツラツラといつもの様に思い入れを述べていきたい。どうぞ今回もお付き合いくださいませ。
さてさて、何を隠そう、自分がハイライフと言う音楽はなんと不思議で面白いものなんだろうか、と思わせてくれたのが、Soundwayがリリースしていたコンピレーション『Nigeria Special: Modern Highlife, Afro-Sounds & Nigerian Blues』に収録されていたウワイフォの”Osalobua Rekpama”と言う曲だったのである。

『Nigeria Special: Modern Highlife, Afro-Sounds & Nigerian Blues 1970-6』
同じくナイジャ産モダン・ハイライフの偉人であるセント・オーガスティンと並んで収録されていたこのナムバー。ゆるいトロットロのスキンヘッド・レゲエやルーツが好きだった自分にとっては実に衝撃的だった。衝撃的なほどにゆるかった。そのとんでもないメロディはしつこいようだけど、とにかく衝撃的だった。
一発で、このヴィクター・ウワイフォと言う偉人かつ奇人の名前を覚え、ebayやDiscogsを漁り、見つけたのがさらにトロットロでゆるゆるのナムバーで、
個人的な話ではあるけれど、ガーナやナイジェリアを含めて、たくさんのハイライフのアーティストの中でもウワイフォは異色の存在で、この大名曲『GUITAR BOY』も数あるハイライフ・クラシックの中でもとりわけ異彩を放っている。そして、とんでもないほどの中毒性がある。ハイライフのスタンダード?なんだいそれ?である。
どうですか、このレイドバックしまくったゆるゆるのギターフレーズ。ヘタウマなんだけど、とてもキャッチー。それでいて大変に可愛らしい響きとエモい郷愁が同居する。
初めてハイライフを聴く人がこの曲を聴いて、良くも悪くも
「これがハイライフかっ!」
って衝撃を受けたとしたら、
「違うよ!これはウワイフォさ!ヴィクターウワイフォさ!」
と、言うより他ないオリジナリティ。
ちなみに、曲の中で歌われている”マミーウォーター”とは、ラゴスのビーチにいる人魚のことなのだそう。
彼の代表曲としてはこの『GUITAR BOY』と『JOROMI』がよく知られている。
この『JOROMI』のライブ動画は、ながら聴きで流してるだけで体を揺らしたくなるほどに素晴らしいが、自分が一番最初に衝撃を受けて、今なお彼の曲の中で一番好きなのが『EBISS-EBISS』。今こうやって書く為に聴いていても胸が熱くなるぐらい好き。
一体何のエフェクトをかませばこんな音になるのか皆目見当もつかないギターリフと、パーカッシヴで民族的なんだけど、どこかナイヤビンギあたりにも通じる踊りやすくゆるいリズム、そして決して良い声でも素晴らしく上手いわけではないのにとても染みるウワイフォの歌声と、エモいメロディ、なおかつ一度聴けば誰でも歌えるであろうサビ。どれをとってもキラー中のキラーなのである。
さて、そんなヴィクター・ウワイフォはさっきも言った通り、実に多彩な人で、多分本当に天才だと思う。激動の1970年代を通して、彼の音楽性はどんどん変遷していく。レゲエの流れで彼の音楽性に引っかかりを覚えた自分があながち間違いではなかったことを証明するかのように、もう少し時代が経つと、彼はカリプソやソカもやったりしていて、あるレコードの裏ジャケには、カリプソの巨人であるマイティ・スパロウがコメントしていたりする。他にも彼自身で作り上げたジョロミ・ミュージックやティティビティ・ビート、ムタバ、そして、後にエド・ファンクやベナン・シティ・ハイライフと呼ばれるシーンを作り上げてゆくのだが、それはまた別の機会に。
彼の作品はYouTubeはもちろん、CDや、リイシューされたレコードなどでも聞くことができるので、気になったなら是非探してみてくださいね。
ぜひ命あるうちに来日してもらいたいものである。
【DJ Schedule】
●SHOCHANG (HIGHLIFE HEAVEN)
◆ 11/16 (Wed)
『Get Ready Rock Steady Vol.13』
@西荻窪Pit Bar
◆ 11/23 (Wed・祝)
『World Groove Music Night Vol.2』
@高円寺sub STORE
◆ 11/27 (Sun)
『燦燦会』
@三軒茶屋天狗食堂





