Event, Pick Up

【PICK UP】 HIGHLIFE★HEAVEN vol.6

2016.09.14.Wed

西アフリカ発のポピュラー・ミュージック、ハイライフを中心にアフリカン・ミュージックについてお伝えする本連載の6回目!!

キング・オブ・スカことプリンス・バスターが亡くなった。

若かりし日のプリンス・バスターと、長期のライセンス契約をしたのはイギリスはロンドンを拠点とするメロディスク・レーベルだった。そして彼は、そのサブ・レーベルだったブルービート・レーベルからたくさんのヒット曲をリリースし、後に”ミスター・ブルービート“と呼ばれたと言う。

2015年にイギリスのサウンドウェイがリリースした『HIGHLIFE ON THE MOVE』と言うコンピレーションは、1960年代のロンドンを中心に活躍したハイライフのアーティスト達を中心に収録した作品だった。

1

  • HIGHLIFE ON THE MOVE: SELECTED NIGERIAN & GHANAIAN RECORDINGS FROM LONDON & LAGOS 1954-66
  • このコンピレーションが発売されるにあったって、当時大きな注目を集めたのが、ロンドンへ音楽修行へと渡ったフェラ・クティが初めて録音した、貴重なハイライフ・ナンバーの7インチが付いていたことで(CDにはボーナス・トラックとして収録)、そのレコード・ラベルはオリジナル盤を忠実に再現した物だと思われるが、クレジットされていたのはメロディスク・レーベルだった。この『HIGHLIFE ON THE MOVE』には、当時のメロディスクで録音を行った音源がたくさん収録されている。つまりメロディスクと言うくくりで言えば、当時のハイライファー達とプリンス・バスターにはしっかりと縁があったのである。

    1950年代半ばから1960年代にかけて、当時のロンドンでは西インド諸島のカリプソやジャマイカのメント、南アフリカのクウェラ、そして西アフリカのハイライフが持ち込まれていたそうで、当時存在したウェスト・アフリカン・コミュニティと、彼らの遊び場だったソーホーのアバラビ・クラブやクラブ・アフリーケを中心に、たくさんのアーティストが夜の音楽シーンを席巻していたそうだ。やがてポピュラー・ミュージックの最前線となったそれらの音楽は”ブラック・ブリティッシュ・ミュージック”と呼ばれたと言う。

    ちなみに、これらのアーティストの音源は、前述の『HIGHLIFE ON THE MOVE』や、やはりイギリスのオネストジョンズがリリースしている『LONDON IS THE PLACE FOR ME』と言うコンピレーションのシリーズで聴くことができて、比較的手に入りやすいのでとてもオススメ。

    2

  • V.A. (LONDON IS THE PLACE FOR ME)LONDON IS THE PLACE FOR ME VOL.5 & 6 : AFRO-CUBISM, CALYPSO, HIGHLIFE, MENTO, JAZZ : THE MUSIC OF YOUNG BLACK LONDON
  • さて、メロディスクからは『GREAT AFRICAN HIGHLIFE MUSIC』と言うコンピレーションもリリースされていた。

    • ダミー
    • ダミー
    • ダミー

    このコンピには10インチのフォーマットと、LPサイズのVol.1とVol.2。10インチとVol.1はジャケットがほぼ一緒だが、内容はかなり違っていて、大きな特徴としては10インチにはアインデ・バカレと言ったアパラに近いアーティストや、後にガーナに戻ってレッド・スポッツを結成するランス・ボイが収録されているが、Vol.1には収録されていない。また、どちらにも同じアーティストが収録されてはいるが、収録曲も違ったりする。

    逆にVol.1は片面6曲ずつの収録となっていて、A面にはアンブローズ・キャンベルやブルスター・ヒューズのウェスト・アフリカン・リズム・ブラザーズ、ナット・アトキンス・アンド・クレイジー・ビーズ、そしてナイジェリアン・ユニオン・リズム・グループがそれぞれ2曲ずつ収録されているが、なんとB面にはフラッシュ・ドミンチィ・アンド・ザ・ウェスト・アフリカン・スーパーソニックスのみで6曲が占められているという大胆な構成となっている。

    このコンピ、『HIGHLIFE ON THE MOVE』と同様に、当時ロンドンのナイトクラブで流れていたハイライフを味わうには最高のコンピだが、ロンドンで演奏されていたハイライフは、ちょうど同時期にガーナを席巻していたE.T.メンサーなどによるハイライフとは一線を画していたと言うことで知られている。同じハイライフでもそのサウンドは違った。

    例えば、数々のコンピレーションに収録されていて、ウェスト・アフリカン・リズム・ブラザーズの代表曲とも言える”オミニラ”は、ガーナのE.T.メンサーやランブラーズ、ブロードウェイ・ダンス・バンドなどの5、60年代の優雅なダンスバンド・スタイルとは確かに一線を画してる。

    • Ambrose Campbell and The West African Rhythm Brothers – Ominira

    マイナー調の旋律に、哀愁に満ち溢れたトランペットの音色が鳴り響くイントロから、ハイライトは途中で挿入されるピアノソロ。甘美であり、荘厳でさえあるけれど、どこか哀しい。

    Vol.1のB面を全て占領していたフラッシュ・ドミンチィは、後にシェイド・レコードと言うレーベルから何枚かアルバムをリリースしている。彼の音楽に度肝を抜かれた当時、彼のことで何か情報が転がっていないかとネットで検索したところ、こんな記事を見つけることができた。

    Comb & RazorHighlife in London: Flash Domincii & the Supersonics

    『スウィンギン・ロンドンの真っ只中、1967年に何が起きたか知ってるかい?そう、ビートルズの『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』、ローリング・ストーンズ『Their Satanic Majesties』、クリームの『Disraeli Gears』、ジミ・ヘンドリクスの『Are You Experienced?』、ビージーズの1stアルバム、そしてもちろん、我らがフラッシュ・ドミンチィの『The Great & Expensive Sound of the Supersonics』が発売された年なのさ!』

    記事の冒頭で、フラッシュ・ドミンチィがそう紹介されている。ハイライフを扱った記事みたいなので、誇張と言うかネタ要素も入っているかもしれないが、上に列挙された、いわゆる”ロックの名盤”とされるリリース群と同じ時代、そして同じ国で、”ウェスト・アフリカン・ハイライフ・ミュージック”と題されたドミンチィのアルバムがリリースされていたことはまぎれもない事実。

  • FLASH DOMINCII & THE SUPERSONICS – RORA RORA MA JO OMO PUPA
  • こちらはVol.1のラストに収録され、1966年にシングルカットもされていたキラー・チューン。カリプソのリズムとキャッチーでメロディアスな管楽器の音色が心をときめかせてくれる。

    当時のロンドンのナイジェリアやガーナのアーティスト達は、カリプソの影響も多大に受けたと言う。ロード・キチナーやロード・ビギナーなどのトリニダードのカリプソニアンと、フェラ・クティやアンブローズ・キャンベル、フラッシュ・ドミンチィらの西アフリカのハイライファー、そしてプリンス・バスターなどのジャマイカのミュージャン達が、同じ時代、同じ国で少なからず刺激を与え合っていたと想像するだけで、ヨダレが垂れてしまいそうだ。素晴らしい時代がそこにあったのだ。

    最後に、プリンス・バスターの曲で大好きな2曲を挙げて今回は終わります。次回はギターバンド・ハイライフについて。
    最高の刺激と思い出を今までも、そしてこれからも与えてくれることに感謝を込めて。どうぞ安らかに。ご冥福をお祈りいたします。

  • Prince Buster – Whine and grine
  • Prince Buster – Stir The Pot – (Wreck A Pum Pum)
  • 【DJ Schedule】
    Shochang
    ・9/18 (Sun)
    HMV 渋谷Record Shop
    『AFRO & WEST INDIES VINYL SALE』
    11:00 – 14:00
    INFO: http://recordshop.hmv.co.jp/963

    ・9/28 (Wed)
    町田This One
    https://www.facebook.com/pages/Thisone/646406992075744

    Soundcloud:
    https://soundcloud.com/shochang-highlife-heaven
    Mixcloud:
    https://www.mixcloud.com/shochangmorichan

2016.09.14.Wed

New Release

ページトップへ