【PICK UP】 HIGHLIFE★HEAVEN vol.22

2017.05.17.Wed

西アフリカ発のポピュラー・ミュージック、ハイライフを中心にアフリカン・ミュージックについてお伝えする本連載の22回目!

何度かしてる話だが、2015年の3月頃、前々からやりたいと思っていたハイライフに特化したパーティー『HIGHLIFE HEAVEN』を初めて開催することが決定した時、正直に言って不安で不安でたまらなかった。あれだけやりたいと思っていたのにも関わらずだ。

不安になった理由はいくつかあったけれど、そもそもハイライフと言う音楽自体がポピュラーとは程遠いと言うことが大きかった。

もちろんポピュラーではなかったから、パーティーをやって少しでもポピュラーなものに近づけたいって気持ちは強かったのだけれど、開催するにあたり、友人知人を誘ってみると、

「ハイライフだけのイベント?マジで?正気か?」

と、訝しまれることも多く、特に音楽好きであればある人ほど、ハイライフに対する先入観が強いのか、苦笑いされることも多かった。

今ならば、

「ああそうだよ、ハイライフだよ。知らないの?今とにかく踊れる音楽なんだぜ」

とでも胸張って言い返すところだが、いかんせん当時は自分自身でも胸を張って自信が持てるほどにハイライフについて知っているワケでもなく、どんな流れを作っていけばいいのか、またそれを作ることができるのか、皆目見当もつかない状態だった。

それでも、せめてもの救いだったのは時間があったことと、探していた1950年代から60年代あたりのハイライフをまとめて手に入れる幸運に恵まれたことだった。

ドイツのセラーから送られて来た7インチレコードに針を落とす度に、どんどんハイライフに魅了されていった。少しずつだけど、自信のようなものが芽生えてくるのを感じた。そんな時だった。その中にアコンピズ・ギター・バンドの7インチがあったのだった。


・AKOMPI’S GUITAR BAND – MEREMMA BIO

それは忘れもしない中央線の中野から東中野へと向かうとある日曜日の午前中だった。iPhoneからMP3へと落としたこの曲のイントロが流れ出した時、

『あ、HIGHLIFE HEAVEN結構うまくいくんじゃないかな』

と、全く根拠もないのに思った。それは予感めいていて、なおかつ安心に似た感情だったのをよく覚えていて、その予感の通り、第一回目のHIGHLIFE HEAVENはなかなかの大盛況に終わった。

まるで5、60年代のピュアロカのイントロみたいなギターフレーズに思わず耳を疑った。そこから差し込んでくるまるでパンキッシュとも言えるクラベスと、ノドの限りにがなり立てるボーカルとコーラス隊。メロディアスなベースライン。ラスト付近のパーカッションとギターが生み出すグルーヴは圧巻だった。ギターバンド・ハイライフの一つの完成形はここにあるんじゃないのか?と、初夏の東中野を歩きながら思ったもんだった。

当然のことながら、それ以来、アコンピの大ファンとなった。手に入りそうなレコードはだいたい買った。それほどまでに彼らに恋をしていても、英国DECCAからリリースした10インチは未だに手に入れることはできないのがハイライフの素晴らしさであり、悲しいところでもある。

さて、このアコンピズ・ギター・バンドは、前々回のロイヤル・ブラザーズ以上、前回のハイ・クラス・ダイヤモンズ同様にメンバーなどの情報が少ない。分かっているのは、リーダーがアコンピと言う名前だと言うことだけ。それがファースト・ネームなのかラスト・ネームなのかすら定かではない。謎多きバンドである。

E.T.メンサーのテンポス・バンドやブラック・ビーツ、キング・オニイナなどが収録された1950年代後半から1960年代前半のハイライフ楽団を集めたコンピに収録されているので、活動を開始したのは1950年代末期か1960年代初頭だと思われる。

時系列としては、E.K.ニアメ、キング・オニイナの後、ロイヤル・ブラザーズと同時期、ハイ・クラス・ダイヤモンズよりも少し先輩と言ったところだろうか。

なので、今回もまた、前回のダイヤモンズ同様に、彼らの残した7インチ音源を紹介することしか出来そうもないが、まあそれもいいんじゃないだろうか。アコンピには異彩を放った曲が多いし。


・AKOMPI’S GUITAR BAND – MINNIM WO

度肝を抜かれた『MEREMMA BIO』のB面もまた、度肝を抜かれるキラーなナムバーである。絶妙なタメが心地良いこの曲は、パーカッションと不思議な音のギターが壮絶なグルーヴを作り上げる美しいチャチャチャ。シンプル極まりないが、ガーナ産ルンバにも通じる中毒性バツグンのベースも素晴らしい。

これまでのロイヤル・ブラザーズやダイヤモンズと違って、アコンピの大きな特徴は恐らく邦楽や欧米のポップスに慣れている人だとなかなか受け入れがたい独特のメロディを持ったがなり立てるスタイルのボーカルだろう。それも恐らくメインは2人のダブル・ボーカル。

このギターバンド・ハイライフのダブル・ボーカル・スタイルはE.K.ニヤメの頃から健在で、後のカカイクズ・ギター・バンドなども高低差のあるダブル・ボーカル。低い方は男性で、高い方が女性だとしたら、何を歌っているのかがますます気になるところである。

ちなみに、このアコンピの歌声がクセになり始めたアナタはおめでとう。ハイライフ中毒の初期症状であります。

てな訳で、続けて2曲。


・AKOMPI’S GUITAR BAND – AKOTAN


・AKOMPI’S GUITAR BAND – OKUNO SE MENYE

最初の曲『AKOTAN』は、ロックンロール調のイントロから、BPM150から160ぐらいでつんのめっていく高速ハイライフ・ナムバー。まさに打ち乱れると言った感じのクラベスだが、この速さとこの乱れ打ちではさすがに一定のリズムを保つことができないみたいで、時々走ったりするのが微笑ましい。よくよく聴くとベースも速い。それにしてもこのギターの音がやはりすごい。どんな風に演奏しているのか死ぬまでにライヴ映像を見てみたい。

続く『OKUNO SE MENYE』は、冒頭のコール&レスポンスの鮮烈さに胸を打たれていると、いわゆるハイライフのクラーベとは違った、どちらかと言えばソン・クラーベに似たクラベスの音とリズムの心地良さに体を揺らし始めてしまうギターバンド・ハイライフ。途中のブレイクや、まるで呪術師のおまじないみたいにがんじがらめにされるダブル・ボーカルが、なんとも言えない高揚感を与えてくれるのだ。

さて、勝手気ままにお届けしてきた個人的『新・3大ガーナにおけるギターバンド・ハイライフ楽団』だが、今回のアコンピが最後のバンドだ。しかし、言うまでもなくギターバンド・ハイライフの楽団は彼ら3つだけではない。まだまだ紹介すべきバンドはたくさんいるのだ。と言うことは、この連載もまだまだ終われないな。なので、皆さん、これからも暖かい目でどうかひとつよろしくお願いいたします。

それから、ハイライフだけでDJなんかもいろんな場所でやってたりしますので、少しでも興味を持った人は、ぜひ遊びに来てくださいね。

Soundcloud:
https://soundcloud.com/shochang-highlife-heaven
Mixcloud:
https://www.mixcloud.com/shochanghighlifeheaven/

2017.05.17.Wed

New Release

ページトップへ