万感記 (ロンドンとレコードとエトセトラ) vol.9

2017.06.02.Fri

お待たせいたしました!昨年7月からスタートしたRAS TARO(CLUB SKA)氏のコラムの第9回目が到着!
不定期で企画している「万感の想いを込めてVol.13」はSUMMER SPECIALと題し来週末の8月27日に渋谷HOMEで開催!!
フードでFOOD : HOMEのステーキ、ローストビーフ、チャーシューも出ます!!

30年前と今との違いはと問われれば、まず思い浮かぶのは物価、価格の違いが大半ではないだろうか。

ではレコードの価格はどうだろうか。新譜については、輸入盤の7インチは700~800円、LPは1600~2500円、当時も今もそんなには変わらない。だが、再発についてはそうではない。以前は、新譜も再発も値段は一律だったし、盤質もほぼ同じ、再発だからとかといって別段はなかった。それが現在では再発の値段は、7インチが1100~1800円、LPが2800~3200円となっている。プレス数の減少や著作権とかの諸問題に加え、音質やラベル等のクオリティーが高まり、それが価格にも反映されているのだろう。つまり値段が高くてもクオリティーが良いものに需要が高まっているのが現在だ。少々乱暴だが、とにかく聞ければいい、持っているだけで満足な時代から、よりクオリティーの良いものに現代の需要はシフトしているのだ。

それでは、レゲエの中古盤はどうだったのか。80年代の終わりと今では、まったく状況は異なる。レゲエだけでなくレコードの中心は渋谷ではなく、まだ新宿だった時代だ。88年の初めのころの東京には、レゲエの専門店は、唯一四谷のサウンドターミナルぐらいで、新譜再発ではタワーレコードなどの輸入盤専門店のレゲエコーナー、中古盤では、ユニオンや新宿のウッドストック等オールジャンルや黒人音楽中心の中古盤屋のコーナー展開だが、おそらくは国内での買取等が中心で、あったとしてもソウルなどの買付のオマケ程度だ。ジャズやソウルの買付のお店はあってもレゲエの中古盤を海外で買付けて扱う専門店は僕の知る限りはなかった、特に7インチの中古盤なんて!新譜だって、ダンスホールが中心でスカ、ロクックステディなんてごくごく一部でしかなかった。

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88年と言えば、Steve Barrow氏がTrojan からジャマイカンヴィンテージの編集盤のリリースを開始した年だ。これ以降、次々とヴィンテージミュージックが発掘され、スカ、ロックステディのリヴァイバルムーブメントへと繋がっていった。僕の話はまだそれ以前のこと。物も情報も極端に少ない時代だから、何が良くてレアで高いのか、これは安いのかどうなのか、手探りもでもない、出会ったら買うそんなだった。先ほど新譜再発と書いたが、スカ、ロックステディは70年代のプレスとか、それ以降のレゲエも90年代半ばぐらいまでは東京でも、新譜再発に混じってヴィンテージのデッドストックもあったりした。当時はそんなことも解らずに買っていたけど。

話をもどすと、それがいきなりのロンドンだ。

後編に続く

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2017.06.02.Fri

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