【PICK UP】HIGHLIFE★HEAVEN vol.34

2018.01.19.Fri

西アフリカ発のポピュラー・ミュージック、ハイライフを中心にアフリカン・ミュージックについてお伝えする本連載の新年1発目となる33回目!

明けましておめでとうございます。
少しサボり気味で申し訳ございませんが、本年もよろしくお願い致します。

さて、いきなり個人的な話で恐縮だが、年末年始の雰囲気が昔から大好きなのである。

12月は”師走”と呼ばれるくらい目まぐるしく、かつ、文字通りあっという間に時間が流れてく。年末に近づくにつれて大小様々な物事や問題も「嗚呼もう年明けに持ち越してしまおうか」的なムードで彩られていく。そんな特有の雰囲気を個人的に毎年楽しんでいる。

もちろんそんなものは、問題やら物事を先送りにしているだけで、年が明けたからって解決するワケもないのだけれど、年明けは年明けでだいたい1週間ぐらいは浮かれ気分に浸っている事が出来る訳で、つまりはそれを言い訳にした”現実逃避期間”だと思っている。無論、だらしがない自分に限ってなのですがー。

ところが、これが正月も2週間ぐらいを過ぎた頃には現実を直視しなければならなくなるワケで、逃避した分、その辛さは重たくのしかかってくるのであった。いわゆる”ツケが回ってきたみたいだ”ってやつだ。

ともあれ、今はまだ浮かれ気分の最中。無事に年を越せるのはいつになってもめでたい事なのだから、新年一発目のハイライフ・ヘブン的コラムはめでたいツイスト特集と洒落込もうと思う。


・KING KENNYTONE & HIS WESTERN TOPPERS BAND “TWIST TO HAPPINESS”

ハイライフ楽団が演奏するツイストと言えばこの人。ケネス・オトーン。キング・ケニトーンの名前で知られる御仁。

このナムバーはその名も”TWIST TO HAPPINESS “。ケニトーンが血管がはち切れんばかりに(想像です)に吹き倒すフックの効きまくったトランペットと、泥臭いハンドクラップが特徴的なハッピーなナムバー。


・KING KENNYTONE & HIS WESTERN TOPPERS BAND “SUZZY TWIST”

ケニートーンは2011年にSoundwayが7インチにてリイシューした事で、世界中のワールド・ミュージックファンに知られるようになった。
その再発された7インチに収録されているのがこの”SUZZY TWIST”で、何かを予感されるイントロから、キャッチーなメロディとコーラスワーク、シェイクしたくなるロッキンなリズムが最高のナムバーで、迂闊に移動中に聴いてしまおうものなら、電車の中だろうが人混みの路上だろうが、所構わず踊り出したくなるシロモノだ。


・KING KENNYTONE & HIS WESTERN TOPPERS BAND “SUMMER BIRTHDAY TWIST”

もう1曲ケニトーンによるツイスト。ピジン英語で唄われる真夏のバースデイソング。泥酔しながらカラオケにでも行った時には、思わず探してしまいそうなほどのキャッチーさ。そしてシンガロングに最適な曲だ。もちろん探したって配信されてるワケはないのだが。

ちなみに、今回の”SUZZY TWIST”と”SUMMER BIRTHDAY TWIST” の2曲は、以前にも同コラム内で紹介したナイジェリアのハイライフにおける偉人の一人、カージナル・レックス・ローソンとのスプリット・シングルからの音源。

ケニトーンのイメージは、ツイスト・ナムバーにおける強烈さが先行してしまいがちだが、ハイライフのトランペッターとしても言うまでもなく素晴らしいアーティストであり、レックス・ローソンと並んでもなんら遜色ない。


・KING KENNYTONE & HIS WESTERN TOPPERS BAND “OMEFE OMA”

4曲入りのEPのラストを飾るこの曲は、トロトロとした極上のハイライフ・ナムバーで、ラスト付近ではトーキングドラムのソロパートがあり、当時のナイジェリアの”ハイライフ・マナー”をしっかりと踏襲してる。

1950年代、60年代当時、ヨーロッパではツイストが流行していたらしく、ロンドンに渡ったアフリカやトリニダードのミュージャン達がクラブで演奏する際、ニーズに応えてツイストやロックンロールをレパートリーに加えていたと言う。

きちんとした映像を見たわけではないし、ここでは想像の域を出ない話ではあるけど、ケニートーンを筆頭にハイライフ楽団によるツイストやロックンロールのナムバーの録音が多数残されているのは、一つの証左になるんじゃないかと思う。


・TOP STARS DANCE BAND “DO THE SHAKE”

こちらはオランダのPHILIPにあったWEST AFRICAN RECORDSにて録音されたトップ・スターズ・ダンス・バンドによるツイスト・ナムバー。ラベルのクレジットにはエドワード・ニューマン・アドジリとその会社へ向けたスペシャル・リリースであるようなのだが、ボーカリストとコンポーザーがコフィ・アニ・ジョンソンであること以外、詳細は不明。


・BLACK SANTIAGOS “PRETTY LITTLE ANGEL”

スパイク・アニャコルのリズム・エイセスを経てメロディ・エイセスなどを率いたベナンのトランペッター&サックス奏者であるイグナス・デ・ソウザが率いたブラック・サンチアゴスのシングル。まるでサム・クックの曲を早回しにしたような楽曲で、ラヴ・ソングのようだが、恐らく愛娘への思いを歌った曲なんじゃないかと想像。

余談だが、このブラック・サンチアゴスのシングルの片面は”AUGASTINA”と言うこれも極めて素敵なハイライフ・ナムバーなのだが、そこでのボーカリストはコフィ・アニ・ジョンソン。

コフィ・アニ・ジョンソンは後にザ・パロッツ・バンドと言う自身のバンドを率いて活躍するのだけれど、それはまた別のお話。


・THE HARMONIERS “HARMONIERS ROCK”

最後はブロードウェイ・ダンス・バンドや後のウーフル・ダンス・バンドの中心人物として活躍したナイジェリア人、スタン・プランジがキャリア初期に結成していたハーモニアズによるドゥーワップなロック・ナムバー。ツイストではないが、一つの記録として紹介しておきたい。

2トーンの代表的なバンド達がオールド・ジャマイカンのファウンデーションを引用したのと同じように、当時のハイライフ楽団達も、動き続ける時代とその情報を敏感に捉え咀嚼していったと言う事を思うと、今年もハイライフはやはり天国なんだな、と信じないワケにはいかないのだった。

てことで、今年も何卒宜しくお願い致します。

2018.01.19.Fri

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