【PICK UP】 HIGHLIFE★HEAVEN vol.24

2017.06.17.Sat

西アフリカ発のポピュラー・ミュージック、ハイライフを中心にアフリカン・ミュージックについてお伝えする本連載の24回目!

アフリカンミュージックが好きで好きで堪らない、という縁で今回から筆を取らせて頂くことになりましたDJ pallakschこと、菊原と申します。アフロ・オンリーDJイベント、Elephant Jumpingなるものを不定期で幡ヶ谷Forestlimitを中心に主催もしております。どうぞよろしくお願い致します。

さてハイライフを中心とした文章のアーカイヴが着々と溜まりつつあるこちらのコラムですが、私もつれづれなるままに、色んな視点でアフリカ音楽の魅力を伝えていければと思います。

さて、ナイジェリアにおきましては1960年の独立を経て、自由なるサウンドトラックとして時代の脈動を伝えてきたハイライフも、時に1967−70年の民族間の対立による内戦、通称ビアフラ戦争によって、新しい命を吹き込まれていきます。

そんな象徴的な曲を三曲、先ずは紹介させて頂きます。
ナイジェリアを二分し、300万人の死者を生んだこの悲劇の戦争は独立を掲げたビアフラ側の敗北、ナイジェリアの国体を維持しつつも、大きな爪痕を残し終結。
必然、人々は癒しを必要とし、またその暴力的なエネルギーを溜め込んだはずです。
60年代のホーン高鳴るハイライフは、一転メロディアスで内省的、ギターが主要楽器となって優しいメロディが人々癒します。
先ずご紹介する時代が求めたであろうその名も”Happy Survival”はスマッシュヒットしました。

Ifeanyi Eddie Okwedyは戦後に活躍するアーティストで詳細不明であります。

お次は、ナイジェリアの最初のポップバンドだったThe Hykkers。バンドとして従軍した終戦をビアフラで迎え、Patt Finn、Jeff Afamらはビアフラに残る組と別れ、ラゴスに戻ってThe Hykkers最初の7インチをリリースします。ビアフラに残ったBob MigaらはThe Starangers を結成。
ラゴスで迎えた若手二人、ギターとベースがJake SolloとIfy Jerry(後のOFOリーダー)でした。
紹介する曲はビアフラの戦争の臭気を感じさせる “I want a break through”

そして、Segun Bucknor & His revolution による 「Son of January 15」というアルバムより”Gbomojo(smoke)”
1/15日は終戦日ですので、終戦によって生まれた新時代を背負った曲です。
Smokeと聞いてタバコの煙しか思い浮かびませんでしたが、決してその煙では無いでしょう。。。

アフロビートの創始者であるFela Kutiもまた戦争後にその新しいビートを持つシングルを次々と発表していきます。
なおFela KutiとHykkersの2マンによるラゴスでのライブは戦後を象徴する一番盛り上がるライブだった様です。

ナイジェリアに限らず、植民地時代、独立、内戦という時代背景を背負ったアフリカの音楽の混沌とその創造性は計り知れず、音楽の多様性の根源としても聴きます。
以上駆け足ではありますが、数曲、戦後の象徴的な音源を紹介しつつ初回終わらせて頂きます。

今回の語られた多くはThe Hykkersに代表されるナイジェリアンロックやナイジェリアの音楽史に詳しい在米ナイジェリア人のUchenna Ikonne が編纂し去年発売された「wake up you !」の付録でついた本から得たものが多く、是非興味を持っていただけた方は、手にして頂きたく思います。The Hykkersの動画がそのコンピレーション「wake up you!」 からのものです。

2017.06.17.Sat

New Release

ページトップへ