Pick Up

【PICK UP】 HIGHLIFE★HEAVEN vol.1

2016.07.02.Sat

はじめまして!

都内を中心にアフリカ音楽の魅力を伝えるべく!
今や当たり前のようにステキなパーティーやイベントが、たくさんたくさん存在するスカやレゲエに追いつくべく!
そして、クラブ・シーンに自然とアフリカン・ミュージックがプレイされ時代を作るべく!
特に誰かに頼まれたワケでもないですが、勝手な使命感でイベントを主催したり、DJをやらせてもらったりしているshochangと申します。

 なんとなんと! 今回から月に2回ほど、こちらで西アフリカ発のポピュラー・ミュージック、ハイライフを中心に、知りたくてもなかなか知れないアフリカン・ミュージックについての事柄や、現行のミュージシャンの情報、偏愛に満ちたアーティスト評、ディスク・レビュー、ただの雑談や世間話に痴話…etc..を書かせてもらえることとなりました!
なんてことだ!嬉しい!もちろん不安しかありません。 

それでも、少しでもハイライフ・ミュージック、そしてアフリカの宝石みたいに煌びやかで美しいダンス・ミュージックの数々のことを、たくさんの人々に知ってもらえるように!良い意味で話題となりますように!

そう願って、ツラツラと綴っていきたいなと思います。がむばります。
少しでも気になった方は、通勤通学の電車の中、恋人や友人との待ち合わせの最中、お仕事の休憩中のお供としてぜひお付き合いくださいませ。そして、どうか暖かい目でお読みくださいませ。

“エボ・テイラーもフェラ・クティも、ハイライフが出発点だった”

まずは“ハイライフって一体なんなんすか?”
ってところから、始めさせてもらいたいと思います。

ざっくりとした歴史や、入り口として、代表的なアーティストあたりを。

さて、“ハイライフ”と言う音楽ジャンルが生まれたとされているのは、ガーナやナイジェリアなどのいわゆる西アフリカでございます。
どちらもサッカーの代表チームが有名ですね。
ガーナはクフォー、ナイジェリアはJ.J.オコチャが好きでした。
あ、年齢がバレちゃいそうですね。

時代は、1950年代から1960年代にかけて。
ハイライフにおける黄金の国であるガーナとナイジェリアは、かつての宗主国であったイギリスから、ガーナは1957年に、ナイジェリアは1960年に独立を果たします。そんな、それぞれの国の独立劇を彩り、独立時のサウンドトラックとして鳴り響いたポピュラー・ミュージック。それがハイライフだったのであります。

独立を祝うテーマソング=フリーダム・サウンドとして鳴り響いた、当時のハイライフの音楽は、ルーツの一つとされるパームワイン・ミュージックやガーナの伝統音楽に、キューバのソンやルンバ、トリニダード・トバゴのカリプソの他、メレンゲやチャチャ、マンボと言ったラテンのリズムと、ジャズのスウィングやシャッフル、ブルーズと言った欧米の音楽が溶け合って生まれたのだそう。

実に豊かな多様性を持ったハイブリッドな混血音楽。
それがハイライフであります。

筆者が特にこの時代のハイライフを好んで、さながら中毒者のように漁っているのは、その音がどこかスカやロックステディに共通するからでもあります。しっかりとしたメロディがあって、ホーンの音色はどこまでも美しい。あ、リズムは違うんですけどね。

さらに年代が進んでくと、溶け込む音楽性もさらに雑多になり、レゲエやゴスペル、ロックのエッセンスも混じり始め、より下世話にカオティックになっていきます。そりゃ大衆音楽にどんどん接近してくんだから、そうもなりますよね。

つまるところ、“決して定義付けすることのできない音楽”なのが、ハイライフの最大の魅力なんじゃないかなーと、常々ワタクシは思っていたりするのであります。

話は戻って、そんな独立時にガーナで鳴らされていたハイライフは、ダンスバンド・ハイライフと呼ばれるスタイル(ハイライフにおけるサブジャンルの一つと勝手に思ってますが)でした。

ビッグバンド編成、つまり大勢の管楽器隊がいて、優雅で甘美なホーンのメロディと歌声、思わずシンガロングしたくなる唄(言葉はわかりません)、そしてダンサブルなリズムで、独立に沸く人々を、それこそエリートから大衆の人々までを昼夜問わずに踊らせました。
ちょうど、ジャマイカのサウンド・システムやナイトクラブにて、人々がスカ・ダンスを踊ったように。

そんな当時を代表するアーティストの一人として、ワタクシの永遠のアイドルの一人、エマニュエル・テティ・メンサーこと、E.T.メンサーがいます。

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  • E.T.MENSAH & HIS TEMPOS BAND
  • 彼が率いたザ・テンポス・バンドは、ガーナだけでなく、ナイジェリアやイギリス・ロンドンなどを中心に世界中で絶大な人気を誇り、今でもここ日本を含む世界中でハイライフを代表するアーティストの一人として再評価され続けてます。すごいんです。名前だけでも覚えて帰って欲しいです。

    彼はLPやCDも編集盤が再発されてたりするので、ぜひ聴いてみてください。

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  • E.T.MENSAH – KING OF HIGHLIFE ANTHOLOGY
  • そんなE.T.メンサーを筆頭とするガーナのダンスバンド・ハイライフは、同じ英語圏でもあったナイジェリアにも持ち込まれます。

    1960年に独立を果たしたナイジェリアも、ボビー・ベンソン、ヴィクター・オライヤ、アンブローズ・キャンベルと言ったナイジェリアン・ハイライフの巨人たちがそのキャリアをスタートさせます。

    そして、ナイジェリアのハイライフにおける巨人の一人、ヴィクター・オライヤのバンドでプレイをしていたのが、キャリア初期のフェラ・クティだったのであります。

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  • FELA KUTI
  • アフリカ音楽をあまり聴いたことがない人でも、一度は名前を聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
    ここ日本でも絶大な人気を誇り、アフロ・ビートと言うアフリカン・ミュージックにおける極上のダンス・ミュージックの創始者でもあるフェラ・クティ。
    (息子のシェウン・クティは朝霧ジャムとかフジロックなどにも出てるのでフェス好きの皆さんにはお馴染みですかね)

    そんな彼も、キャリア初期にはハイライフを演奏していたんですね。

    そして、“ガーナのフェラ・クティ“と言っても過言では無いアーティストがエボ・テイラー。
    エボ・テイラーのキャリアのスタートもまた、スターゲイザーズ・ダンス・バンドやブロードウェイ・ダンス・バンドと言った名門ハイライフ・バンドでのギタリストとしてだったのあります。

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  • EBO TAYLOR
  • エボ・テイラーは不遇の人らしく、近年再評価されるまではその素晴らしい作品たちと共に歴史に埋もれてしまうところだったと言います。

    それでも世界中のアフロファンやレーベル関係者の尽力によって、レコードがリイシューされ、彼はその実力に見合った正当な評価を近年得ています。

    なおかつエボ・テイラー御大はまだまだ現役バリバリの方で、2012年にはメタモルフォーゼ出演の為に来日をしてたりします。

    率直に言って、行かなかった4年前の自分を絞め殺してやりたいレベルの話ですよ、これは。

    是非とも再来日してくれることを願ってやみません。
    誰か本当に呼んでください(切実)。なんでも協力しますので!

    以上、、

    “ハイライフとはなんぞや”

    と言うテーマのもと、3人の偉大なアーティストを駆け足で紹介させていただきましたが、たぶんこれでは“なんぞや”の答えにはなっていないから、怒られちゃうと思いますね。僕なら怒りますもん、ハイ。

    ただですよ?考えてもみてください。

    ここで答えが出ちゃったら、この連載もここで終わっちゃうじゃないですか。せっかくもらえた機会なのに!!

    まあ、それはさておき、何度も言いますが、ハイライフと言う音楽を簡単に定義付けることはできないんですね。

    その演奏スタイルに一定の共通のリズム・パターン、ギター奏法などは存在したりします。

    とは言え、

    『それが無ければハイライフではない!認めんぞ!』

    と言う訳ではありませんし、もしそうなってしまったとしたら、ハイライフが持つ魅力を最大限に楽しむことができなくなるんじゃなかろうか。

    個人的にはそう思うんです。

    トロピカルであり、土臭くもあり、どこかエモーショナルで、祝祭感に溢れている。
    そんなハイライフ・ミュージックを、気軽にぜひ、たくさん聴いてみてください。

    よく言われるのは、

    『喫茶店とかで流れててもいいよね、合うよね』

    ってことだったりしますので、ぜひお近くの古き良き珈琲屋さんでE.T.メンサーを聴いてみてください。

    そして、少しでも『イイじゃん、ハイライフ。踊れるジャン』とでも思ってもらえたなら、少しだけ勇気を出して、我々のやっているイベントやパーティーにも出かけてみてください。

    きっとどこかで気持ち良さや心地良さを感じることができるはずなので。たぶん、きっと。いや、ゼッタイ。

    おっと、気付いてみたら初回からどエライ長くなってしまいました。
    どーもすみません。

    正直、初回と言うことで、かなり気負って書いてます。が、これからも許される限り、こんな感じで続けさせて頂きます。シツコイのだけが取り柄なんです、すみません、ハイ。

    とにかく、ここがキッカケで、ハイライフやアフリカン・ミュージックの敷居の低さとか、音の魅力に気付いてくれた人が一人でもいるだけで、私は天にも昇る気持ちになれるのであります。

    長々と失礼いたしました。
    ともあれ、最後までお付き合い頂いてありがとうございます。

    そして、今後とも何卒よろしくお願い致します。

    (※次回はもっと短いはず。たぶん)

    さてさて、少しでも気になった方に朗報です!!
    極上のパーティーはすぐそこなんですヨ、実は。

    手前味噌ながら、最後の最後で告知を失礼させて頂きます!!

    不定期開催ながらもハイライフに焦点を当てたパーティー『HIGHLIFE HEAVEN』。前回は一回目にして主催側が驚いてしまうほどのお客さんに来て頂いたのですが、満を持して、いよいよ二回目を開催します!

    今回はなんと、日本を代表するトロピカル・ミュージック・パーティー『TOKYO SABROSO』との共同開催でお届け。ハイライフ・ミュージックはもちろんのこと、50年代から70年代末にかけてブラザヴィルやキンシャサ、アビジャンと言ったアフリカの大都市で人々に愛され熱狂させて来たアフロ・ラテンにも焦点を当てちゃいます。

    スペシャル・ゲスト・バンドには、ご機嫌なトロビカル・ハッチポッチ・バンドであるカセットコンロスでの活動はもとより、様々なアーティストとのコラボレーションなどで唯一無二のスタイルを築き上げたギター・ウィザードであり、目下TOKYO SABROSO DJsプロデュースで、7インチ音源を製作中のワダマンボ氏が、『WADA MAMBO’s AFRO LATIN SPECIAL』として登場。

    スペシャル・ゲスト・DJには、TOKYO SABROSO DJsから、アフリカ、中有南米、カリブ諸島、アジア等へレコード掘り行脚を幾度も敢行し、『日本のフランク・ゴスナー』の異名を持つヨースケ・バオバブ氏。

    ハイライフやアフロ・ラテンの今この時代に響いても色あせることない輝きを放つ当時のレコード達と、今この時代に東京発のサウンドとして放たれる生演奏が共存する、そんな胸踊るゼイタクな一夜でございます。気になった方は、ぜひチェックしてみてください。

    【2016/07/31(Sun)】

    『HIGHLIFE HEAVEN & TOKYO SABROSO
    present WADA MAMBO’s AFRO LATIN SPECIAL』

    @渋谷・虎子食堂
    Open:18:00 – 24:00
    Door:¥1500

    Guest Band:
    WADA MAMBO’s AFRO LATIN SPECIAL

    Guest DJ:
    YOSUKE BAOBAB (TOKYO SABROSO)

    DJs:
    SHOCHANG (HIGHLIFE HEAVEN)
    HIDE MORIMOTO (Soul Bonanza)

    FOOD:
    Layla

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    2016.07.02.Sat

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